アクネの可能性が広がる

私が育った横浜の家の庭には、大きなヒマラヤ杉や、沈丁花、キンモクセイ、バラなどよい香りを発するものがありました。 また梅、グミの木、柿など実のなるものや、八重桜など花が群れをなして咲く植物も。
ツツジ、サツキ、幼い頃からずっと今日まで、こうした四季折々に見せる植物の偉大な力に魅了されてきたような気がします。 このところ、東京・恵比寿にある美容院アージェ・ガーデンで定期的にしてもらっているグラングリーンの頭皮トリートメントにはまっています。
このトリートメントはハーブの力を利用したものですが、頭皮に弾力がつくので髪の根元が寝ないで立つようになりました。 ウォーターと五十五種類のハーブ入りのウォーターリフレを用いながら、頭皮のツボを指圧し刺激するそうで、アロマテラピーとハーブの効用、そして指圧で血液循環がよくなってうっとりと気持ちがよくなるのです。
頭皮が引きしまり清潔になりまずから、長い目でみれば顔の皮膚も自然とリフトアップされリフティング効果も得られそう、とひそかに期待しています。 昔と違って、このごろは香水も本物のバラやジャスミンを使うことが少なくなりました。
化粧品もすべてバイオテクノロジーの発達により、目覚ましい即効性があるものが次々と出てくるようになっています。 ただし、即効性はあっても持続性や改善性となると、まだまだ汐疑問形。
といった製品が大半ではないでしょうか。 断言はできませんが、効き目の強い薬はあまり飲みすぎるといざというときに効かなくなるのと同様に、即効性の高い化粧品を信じ込む気持ちにはなれません。
植物、分けてもハーブのゆっくりとした穏やかな効果が私にはぴったりに思えるのです。 ハーブと言えば、以前パリで会ったマダム・クロードが「最初に書いたものよ」とおっしゃっていた『あなたが一番』という本があります。

その本文の最後に、彼女が日常に飲んでいるハーブティーの効用が付録として書いてありました。 例えば、カモミールは消化促進やノイローゼなどによい。
古代ギリシャ人からも愛されてきたハイビスカスはセルライト防止によい、ミントは胃や神経によいなど。 彼女のハーブティーの作り方は、まずヴイツテルやコントレックスなどのミネラルウォーターを沸騰させて、ガラスか陶製のポットに注ぎます。
そこにハーブを入れて蓋をして五十分したら出来上がりです。 ハーブティーは大好きで私もよく飲みますが、そのほかにもときどき寝る前にフロー・エッセンスを飲んでいます。
このカナダ産のハーブエッセンスをミネラルウォーターで割って寝つけない夜に飲むと、不思議なくらいぐっすりとよく眠れるのです。 いつかフランスで買ったハーブはあらゆる病いの治療や抗菌作用のあるものとして、西洋の人々の生活に昔から取り入れられてきたそうです。
ペストがヨーロッパ中に拡大した十八世紀に、英国やフランスの家の前では、ラベンダーのエッセンシャルオイルを撒いて疫病の伝染を防いだといいます。 ペストの感染を免れた人には、エッセンシャルオイルを身につけていた人が多かったという話もありました。
最近、私が読んで力づけられたのは、『私の小さな魔法について』という本です。 これは『太陽がいっぱい』でアラン・ドロンと共演したフランスの女優マリー・ラフォレが、自分の美容法について書いたもの。
以下に、本文から少しだけご紹介します。 「若くして生まれるということ。
それは誰にもできること。 私はそれよりも年齢にかかわらず若くなるということのほうが、興味をそそられるのです。
六十歳になっても私は十八歳のときと同じヴァイタリティも、生理もあります。 私と同世代の女性はよく言います。
『いったいあなたは何をしているの』と」彼女はこの本で「お化粧を信じないで。 すべては自然の力にあるのです」と繰り返しています。

そして、ハーブエッセンシャルオイルを材料として、自ら作り、使用している化粧品やシャンプーの作り方などを紹介しているのです。 ここで彼女のレシピを二つ。
〈きゅうりのローション〉
*材料・・・きゅうり1本、マスクメロン見個(皮なしてベゴニアの花の茎を少し含む先端7本。 材料を一緒にミキサーにかけガーゼで漉過します。
このローションは肌を清潔に掃除して明るくし、引きしめの効果があります。 このローションは六十分しかもたないのでそれ以後は捨ててください。
〈パパイアのローション〉
*材料・・・パパイア見個(種なし、皮なして椿油小さじ1杯、パンジー(黄色か紫、または両方)の先端3本。 材料を一緒にミキサーにかけ、できたムースをパックのように首やデコルテにつけます。
そのまま約六十分間おいた後、洗い落とします。 それ以上時間をかけても効果はありません。

さらに彼女は、エッセンシャルオイルの選び方も教えてくれています。
以下六項目。
@瓶が密閉されている。
A植物100パーセントの成分である。
B植物がラテン語で表記されている。
C製造場所の名前と住所が明記されている。
D必ずしも公式の国際的規格の品質表示は必要ではない。
E何の混合物もなく、加工もされていないという表示がある。

二十年ほど前から、自己流ではありますがエッセンシャルオイルを何種類ラピーによるリラックスや精神統一を行ってきました。 おかげで冷蔵庫の扉いくつも並んでいます。
香りを嗅いだり、肌につけたりすることで精ルオイルの瓶がよい気分になるということを、私も体験してきたのです。 そのほかにも、彼女の本には試してみたいレシピがたくさんあります。
私は今、まるで森林浴をするような気持ちで、毎日少しずつ、この魔法の本々を繕くのが楽しくて仕方がないのです。 ここの「ヘッド・スパ」はその時々の髪のコンディションによってコースを設定してくれます。
五十分〜九十分で要予約です。 私は十日に一回くらいのベースで通っています。
毎年夏が近づくにつれて気になりだすこと、それは肌のテカリと毛穴が目立つことです。 十代、二十代の頃の私は自分のことをオイリースキンだとずっと信じてきました。
汗の季節になると顔がテカッてしまうことは、当時の悩みのひとつでしたが、三十代中ばになるとテカリはTゾーンだけになりました。 そして化粧品売場の人から、初めて「Tゾーンはオイリーですが残りの部分(混合肌)ですね」と言われたときは面食らってしはドライですから、コンビネーションスキンまったものです。

同じ顔なのにいくつもの種類のお化粧品が必要なことに疑問をもちながらも、それ以来、ドライな部分は水分補給のためのお化粧を、Tゾーンはテカリ防止のためにさっぱり系のものをと、使い分けるようになりました。 今になって思えば、テカリはいわば若さの象徴だったともいえるでしょう。
テカリといえば、パリに留学する前の年、大学主催のヨーロッパ旅行に参加したときのことが思い出されます。 いつも一緒に行動していた台湾人のお友達、スザンヌ・ウェイ。
彼女はほとんどお化粧をしていませんでしたが、服や髪はいつも清潔にしていて、いかにも上品なお嬢さんといった感じの人でした。 そんな彼女の印象的な思い出のひとつがかあぶら取り紙です。
その夏の旅は、ベルギーを皮切りにフランス、イタリア、ギリシャ、ドイツと、暑いきなかを二カ月半かけて回ったのでかなり大変でした。


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